コラム―子育て、ホット一息
この連載は、地元の民報『東北部新聞』に連載したものですぼく、失敗しちゃった!!
失敗を恐れる子どもたち
保育園で。つかまり立ちを覚えたAちゃん、10か月。失敗してひっくり返り頭をゴーンと打って大泣き。それでもまためげずに立ちあがります。すごいエネルギーですね。
だけどいつの頃からか、子どもたちは失敗を恐れるようになっているのではないでしょうか。
保育士さんの遊びの研修で「しっぽ鬼」をしたら、なんと若い先生方がみんな、しっぽを取られないように壁にへばりついて遊びにならなかったそうです。
失敗は子どもの権利
国は今、保育・教育の成果は目に見える数値目標の達成だと企業の論理を持ち込んで、集団の持つ力をおろそかにし、激しい競争を強いて子どもから個性も自信も奪っています。その中で子どもたちは失敗を恐れるようになっているのではないかと思います。
保育園での給食のときのこと。今日は人気の美味しいシソごはん、
てんこ盛りにしていった子が何人か続いて、「先生、ぼくのごはんないよ〜」とべそをかく友達がいました。
「あら、みんなに回るようにしようね!」と先生。初めから言い聞かせずに子ども自身の気づきを大事にした、見通しを持った保育をしている先生だと感心しました。
そろそろ我慢する力がついてくる年齢です。「もっと食べたいけど、友達の分もとっておこう」、仲間がいるからこんな優しさが育ちます。
目に見える発達を縦とすると、目に見えないけれど人間としての幅、人格の形成、これを横の発達と呼び、両方はバラバラではありません。
失敗しても何度でも立ち上がる赤ちゃんを見守ったように、何才になっても「失敗は子どもの権利」と見守ってあげたいものですね。個人と集団と社会のありようをしっかり結んで。
(2013年8月27日 記)