7日目 5月22日 キューバ滞在最後の日
農園、ヘミングウエイと漫画オタク
9日間の旅といっても、往復で2日かかるから中は7日で、今日はもう最後の日となりました。
まず、農園の見学に行きましたが、それは別途書くことにします。
次はヘミングウエィのキューバ時代の家の見学。今は博物館になっており、ヘミングウエィの当時の暮らしがよくわかるように、ぐるりと外から回って部屋が見えるようになっていました。この家でヘミングウエイは「老人と海」を執筆したのですね。
夫は、旅の計画を見て、キューバへの行きの飛行機の中で「老人と海」を読んでいました。私は昔、昔、若いころ読んだきりでしたが、読み直せばよかったかな。
ヘミングウエィがアメリカからひそかに物資を運んで、革命軍に渡していた、その物資を運んだボート「ビラール号」も展示してありました。「武器よさらば」や「誰がために鐘はなる」は戦争への怒りを静かに語っていますが、ヘミングウェイはキューバの革命にも、こんな形で協力していたのですね。
夫はここで、念願のハチドリに遭遇し、感動していました。キューバの映像で何をみせるかといえば、ハチドリの動画です。なかなかみれない鳥で、見つけたら願いことを言えば叶うといわれています。
夜は、これまた面白い青年たちとの交流でした。
「漫画オタク」。
日本のアニメが大好きというのです。それも半端ではない。漫画から日本語に興味をもって、日本語を勉強している20代の青年でした。
私たちの知らない漫画、アニメもよく知っていました。
サザエさんやジブリならついてゆけましたがね。アニメのテーマソングまで歌えるのですからびっくりです。
インターネットだそうです。漫画オタクのゴスプレ大会もあると、写真を見せてくれましたが、すごい。日本へのあこがれは「秋葉原」だそうです。親御さんは「あまり好ましく思ってくれない」と答えた子もいました。
しかし、日本語はみんな大変堪能でした。
「チェ・ゲバラは知っているか」との質問に、「知っている。彼らのおかげで今の暮らしがある。学校の歴史で学んだ。尊敬している」との返事が返ってきて、ちょっとほっとしましたが、その子は将来ガイドになりたいとの希望を持っているしっかりした子でした。
でも、キューバの歴史に興味のない子もいたようで、日本と似たところもあるのですね。
「ヘミングウエィは読んでいない」と言っていました。もう古典文学だものね、日本の子も読んでいないかも。いや、ヘミングウェイも知らない子が多いかも。
「日本にぜひ来てください」には「とてもいけない。お金がかかる」と返事が返ってきました。
ガイドのエライネさんも「お金持ちの日本人と結婚できたらね」とジョークで笑っていましたが、キューバに来ることができる私たち日本人は、お金持ちと思っているかもしれません。貧困と格差が広がっているのだけど。
お土産のチョコや計算機、ボールペンなどの詰め合わせ袋を、歓声を上げて喜んでくれました。
日本の歌をプレゼントしました。いつもの旅グループ特別合唱団の出番です。キューバの子も、キューバの歌を歌ってくれました。
今回は、カリビアンリズムの激しさ、陽気さに負けて、歌う機会が少なかったね。
雑感こもごも
キューバ発信のニュースを送ろうと,毎日朝晩、ホテルのホールでがんばったのですが、結局、一日目だけ何とかWi-Fiがつながったけれど、あとは全滅。プリぺーカードが無駄になりました。
キューバの国内線の飛行機が落ちたことも、私たちの安全を家族に知らせることができませんでした。
インターネット環境はよくありません。医療など世界に発信する部分ではペーパーレスで頑張っているけれど、パソコンが各家庭で持つことを許されるようになったのも最近のようです。
広場にはいつもたくさんの人がいましたが、みんなスマホをやっていました。広場に来ないとできないようですね。
それで、毎晩さんざん飲んで酔っ払っていましたが、これだけは書かんくっちゃと頑張りました。その日のうちに書かないと、忘れてしまうからです。
驚いたことは、少子化で出生率が1・5人。日本と同じように高齢化と少子化が悩みでした。収入が少なくて産めないことは、日本と共通していますが、そのほかの理由があるのか。
フィンランドでは、至れり尽くせりの福祉政策にもかかわらず、やはり少子化でした。フィンランドは、医師、教師、弁護士などの要職の多くを女性が担っているので、仕事をとる女性が多いとの話を聞きましたが、キューバでは福祉政策、低給料だけではなさそうな何かがあるのかな。分からない。
また、離婚率が高く、60件の結婚があれば30件の離婚があるとの事。日本では「バツ1」と言いますが、キューバでは「マル1」というのだそうです。「あなたはマルいくつ?」と聞くことは、相手を傷つける事ではないらしい。お国柄ですね。熱しやすく冷めやすいのか?
とても陽気で、ポシティブです。
そして、このごろは結婚しない若者が多いのだそうです。結婚式を挙げると「どうしたの、頭、変なんじゃないの」と思われると。事実婚(同棲)が多いのかな。
賃金が安くて結婚できない事情は日本と同じようですが、そのほかのも理由もあるかもしれません。
中村さん、しっかりのってる!わたしも、ルンバやチャチャチャのリズムで、盆踊りの炭坑節を踊ってきました。いやあ、どんなリズムにもマッチするんですね、炭坑節。
食事は、お米中心、お肉と野菜。
でも、野菜は日本のようには食べないみたいで、お米が中心だそうです。
炒めたり、お豆のスープをかけていました。小豆のスープをかけたご飯はおいしかった。
でも、私は、最後は飽きてしまって食が進まなかった。
配給で手帳をもって最低のものは国からもらえますが、とても足りない。昔は肉は手に入らなかったそうですが、今は比較的安く買えるといっていました。
収入が少ないので、副業を持ったりします。
買い物の途中で、「ペットボトルが欲しい、ないか」と寄ってきたおばさんがいました。ゴミの中から探したり観光客からもらったりして、売って収入にしているのだといいます。
Hさんは、まだ入っていた水を飲みほして、空のボトルを差し出しました。
私は何度か、物乞いに会いました。子どももいました。食べることに必死なのですね。
観光が最大の外貨を稼ぐ手段になっているので、エイズもどうかなと思いました。胎児感染はふせげても、エイズ自体はあるということですね。
外国の資本が入らないと、経済活性化は難しいのでしょうか。アメリカとの国交回復で前に話した教師になりたいというエミリさんが、「でも、トランプになったから心配だ」と言っていましたが、どんな方向に行くのか、これからもキューバの発展の方向を考えました。
あっという間に終わった旅でしたが、とても楽しかったし学べました。あらためて日本の役割を考えました。
農園のことを書こうと思っていたら、もう疲れました。またの機会にします。ソ連の崩壊で食糧難になって開拓された分野です。