コラム―花によせて
その14 南天
今年もいよいよあと2日。準備を始めたおせち料理に庭の南天が大活躍しています。飾りだけとしてだけではなく、葉には殺菌作用もあるそうです。「難を転じる」ともじって、縁起がいいとされる南天。初夏に、細かい白い花をびっしりつけますが、実のほうの印象が強く「花はどんなだったかな」という人さえいます。
暮れの総選挙では自民党が294議席、圧勝で政権奪還しましたが、「難を転じ」ることができたのは、悪しき小選挙区制と民主党政権の裏切りへの国民の猛烈な怒りのおかげ。
比例得票率は政権転落した09年総選挙より下回る15.99パーセントしか取れなかった。「言論NPO」の有識者アンケートでは、「自民党の政策への共感」もたったの7.4パーセント。「自民党には戻りたくないが仕方がない」票が小選挙区では動いたのか。その選択の裏には、争点は自民、民主、第3極での「政権選択」とすり替え、共産党をはじく異常なマスメディアの報道があったと思います。
虚構の議席ゆえ、国民とのかい離は選挙が終わった直後からはじまっており、ちまたは「憲法九条があぶない」との危惧の声であふれています。
昨夜の大雪でしなだれてしまった南天も「悪者のお手伝いはしないよ、転じたかに見えているだけだ」と言っているかもしれない。
「南天」といえば、ぱっと思い浮かぶのは「南天のど飴」。選挙グッヅでは欠かせない一品、宣伝カーの友です。本当に喉に効くかどうかは、私には実感としてないけれど、鎮咳に効果があるドメスチンが葉にふくまれているそうです。アナウンスや演説で痛めた喉を、優しくいたわってくれるのでしょうが、なめていれば効くような気がするのかも効用かもしれません。私にとってこの衆議院選挙は、候補者として「のど飴」をなめる最後のたたかいとなりました。1999年から今日まで、国政選挙8回、知事選1回、計9回の選挙戦で頑張れたのは、ひとえに皆さんの支援、励ましのおかげです。
こころ新たに、来年の参議院選挙は難を転じて勝利するように頑張る決意ですが、私たちの「難」は自力をつけること、これは努力しないと転じない。まあ、何につけても難を転じるには努力なしでできることではありませんね。
ていねいに朝日がとどく実南天
黛執(まゆずみ しゅう)
どの実にも平等に光を当てた朝日、そして細かい一つ一つの実が赤く輝くさまが目に浮かぶ、気持ちの良い句です。
(2012年12月30日 記)