ニュージーランドの旅─青少年育成関連(ユース・サービス)で懇談
10時間の飛行でオークランド到着、その後2時間半、車に揺られてロトルアへ。
オークランドからルトルアへの道は、ずーっと、ずーっと、どこまでも限りなく続く牧草地帯です。
しかし、ヒツジはほとんどいない。代わりに牛が群れていました。
羊の肉も毛も、以前ほど珍重されずお金にならない。今は中国が牛を買ってくれ市場ができたので、ヒツジはもう姿がないといいます。
この果てしもない丘は、ずっと以前から丘だったのではありません。
イギリス人が侵略し、マオリ族を屈服させ、原始林の金になる大木をすべて商品にし、残りを焼き払って草原にしてしまったのです。
今では産業の45%が酪農、人口の3分の一を占めるそうです。
マオリ族が侵略された歴史の重みは、午後のNGO「ユース サービス」での懇談で、明らかになりました。
「マオリの侵略された歴史を知らずに、ニュージーエランドを知ることはできない」
今日の私の感想はその一言に尽きます。
今日の一番の予定だったNGO組織のユース サービスとの懇談では、9人のスタッフが対応してくれました。
ここは、DVやネグレクト、ドラック、アルコール依存症、妊娠などで苦しむ子どもたちをサポートする集団組織です。
全国あちこちにあり、ロトルアのここでは35人のスタッフがいました。
驚いたことは、対応が非常にきめ細かいこと、国がNGOを資金面で全面的に支援していることです。
例えば、心配な子どもがいると、関係する組織全てに連絡が行き、課題を共有するそうだ。
また、例えば、妊娠した高校生には、義務教育を続けながら子育てする支援をする。子育てのサポートはもちろんのこと、部屋を探すことから就職まで目配りをしている。
学校でいじめが起きても、できるだけ内密に事を済ませようとの動きも目立つ日本とは大違いだ。
一番の核心は、NGOの行動に対して、国が前面的に資金面でバックしている姿勢です。
実はこの裏には、マオリ族の迫害された歴史があるのです。
日本では競争の教育、管理教育が子どもの育ちを阻んでいることは、国連からの勧告されている通りです。
ニュージーランドでは、「ユース サービス」の対象はマオリの子どもたちが多いという。
土地も収奪され、仕事も奪われ、差別され殺され、一時はマオリ語も奪われ、アイデンティティーを奪われた民族は今、貧困層も多く、子どもたちのかかえる問題も少なくないですね。
マオリは今では、人口の15パーセントしかいなくなった。
この組織は、NZが侵略の過去に向かい合っている姿の一つだと思いました。ドイツでもいまだに戦犯を探している。
日本はアジアへの侵略を認めようとせず、慰安婦や徴用工の問題にも真正面から向き合おうとしない。それどころか、また過去へ戻ろうとする政府。恥ずかしい話ではありませんか。
写真は、スタッフとの懇談、マオリの皆さんと一緒にハッカーをする夫。