2014年5月   北欧の旅の報告

デンマーク3日目は森の幼稚園・・・

  デンマーク3日目は、森の保育園、老人施設、学童保育の3箇所の視察見学でした。
 よく歩いた一日でした!!ふう・・・!普段の運動不足がきくう!!

 森の保育園は、コペンハーゲン近くのゲントク市にありました。バスで移動です。
 よほどひどい天候でない限りは真冬でも森で過ごすという方針の保育園で、1950年ごろデンマークで始まったものですが、ドイツ、スウェーデン等に広まってゆきました。
 もともとは幼稚園が少なかったので、母親が森で遊ばせたことが出発のようです。
 ドイツでは220箇所、スウェーデンでも180箇所ほどあり、日本にも増えてきました。
 デンマークでは幼稚園総数2760ほどのうち63箇所です。
訪問した保育園は園舎もありました。日本ではもっていないところのあります。

 まずは園長先生からレクチャーをうけました。

 その後、子どもたちと一緒に森に入り、ひと時をすごしました。

 訪問した森の幼稚園は、私としては森で保育する理念や子ども観、実際の保育実践に踏み込みたいところでしたが、今日のところだけでは、疑問が多く残りました。

 「山女」といわれている園長先生、五十嵐さん、永井さんと私。子どもからプレゼントされた花束をもって。ブナ林です。
 園長先生によると「8月の新学期から近くの小学校に統合されることになった。また、英語を学ばせることに市として決まったので、勉強も始まる」ということです。うーーーん。
 実際、森の中でカードやボールを使った英語と数字の勉強をしだしたときには驚きました。
 また、学校へ行って必ず必要なので「ITは教えなければならない」としていました。
 2001年に政権が交代して以来、福祉切捨てが進められている一端を見るおもいでした。

              

 昼食後は「ホルメゴースパーケン」という老人施設の見学。1922年に設立したという、歴史の古い施設です。

 ここは感激しました。
 独立法人の施設で、基準の変更に伴っての改築工事をしていました。
 人権尊重の見地から、部屋を広くしたそうです。古い部屋もみましたが、今までの基準でもバス・トイレだってちゃんと部屋続きについていて、日本よりはるかに生活空間とふんいきがありました。

 これが新しい部屋です。すばらしい。個人の思い出の持ち物に囲まれています。認知症などのため、直接外にはつながっていないけど、バルコニーもあって、おひさまいっぱいです。

 隣にバス・トイレがついています。1部屋49uです。
 「こんな施設ならはいってもいいな」と思いました。
 入居費用は月24万円。でも大丈夫、年金では払えない人には、政府が出してくれますから、誰でも入れます。
 日本の特養ホームは、デンマークからすれば「人権侵害」といわれかねないお粗末さだと思います。それでも、増やしてくれないのだから。

 ここでは145人の定員で、職員は300人、フルで働いて160人だそうです。

 所長さんの話は力強かった。
 「政府は予算を削るために給食をセンター化しろといってきた。しかし、食事は口から入る栄養だけではない。人をつなぐ大事なもの。
 だから私は、許否して、やりくりして新しい厨房もつくった。私は自分で決めるのがすき!独立法人のいいところです」
 ちなみに、センター化した場合は、1万食以上作っているセンターから運ぶことになるのだということでした。
 所長さんのポリシーと、小気味のよい反骨精神が印象的でした。
 施設には垣根はなく、住民のみなさんや子どもたちと触れ合えるようにできていました。

               

 さて、最後はコペンハーゲンの学童保育。「広い!」と叫んだら「そうですか」と「当たり前ではないか」と言うようなそっけない返事。幸せな子どもたち!

 広い遊び場。

 サッカーなどで遊べる広場も。

 廃材で小屋を作っていました。冬までには完成させ、またばらして、廃材は再び利用され「今度は何を作ろうか」。
 子どもたちの知恵が生かされています。

 工具だって、本物です。ビリヤードやパソコンの部屋も、ちょっとした広い体育館もありました。厨房では大きな子ですが、好きにお湯を沸かしたり、簡単な調理もしています。

 一つの学校に4つの学童があり!!ここはそのひとつ。
 ここはやっぱり独立法人です。
 しかし、予算削減のために、独立型の学童保育所の廃止が進み、ここも学校の中に併設されていく予定だというのです。
 「学校の中では、気分転換ができない。ここなら学校でうまくいかなかった子が元気を出せる。しかし教育改革の一環です」と残念がっていました。
 ぜひ存続させて欲しいと、私たちからもお願いしてしまいました。

               

 福祉国家デンマークも、過渡期にあるようです。ここ10年で、大きな変化が出てきていることを、今日は実感しました。
 それでも日本と水準の違いは明らかです。
基本的に人権を尊重する姿勢が底力として生きていることには感銘も受けてきました。
 また、日本の保育理論は大変優れたもので、すばらしい実践の数々は誇りを持って進めなければと、あらためておもいました。

 せっせと歩いて1万5千歩。
 ああ、つかれたよ〜
 明日は学校訪問です。