2014年5月 北欧の旅の報告
ヘルシンキ第1弾
北欧の旅から、帰ってきました。
ヘルシンキでは約3日間滞在しましたが、到着、出発の日をのぞいて、視察は実質2日間。
「1万歩視察」と言いたいほど、よく歩き続けました。ヘルシンキでも少ない日でも1万歩は歩きました。ふ^^
残念なことに、やはりコンピューターがどうしても接続できませんでした。
それで今日から連続で、フィンランドで見てきた教育・福祉の報告をします。
ヘルシンキに入った途端に、「広いなあ」と感じました。道路が、歩道、自転車道、車道と、とても広いことと、どこでも高い樹木があって、解放感いっぱいの街でした。
ヘルシンキでは、幼稚園、アルツハイマーのデイケア、老人ホーム、ネウボラ(福祉課と健康保険課が統一された、妊婦から小学校入学までの子どもを見守るセンター)、教員労働組合を訪問しました。
フィンランドでは、「65歳以上のお年寄りが必用とするサービスは行わなければならない」、また、「16才以下の子どもは手厚くケアしなければならない」との法律があるそうです。
それは「資源のない小さな国だから、人材を育てることが財産」との考えが根底にあります。条件は日本も同じだけどねえ・・!!
老人福祉については「老人を大切に」の人権思想を根底に「老人を大切にすることは若者を支援すること」と考えているのでした。
発想がポシティブです。いいなあ。
まずは「ネウボラ」から報告します。
ネウボラでは、人口60万人のヘルシンキに24か所あります。妊婦と小学校入学前までの子どものケアは大変綿密で、行き届いたものでした。97パーセントが利用しています。
★まず妊婦健診は出産まで12回、そのうち3回は医師も一緒に見ます。1回は家庭訪問で、ケアは必要であれば、何度も通って、家事の手伝いもする。これも日本と比べて多いですね。
ネウボラの診察室
診察室の中。日本の開業医のような医師はいない。私立のネウボラはある。
★出産すると、どの子にももれなくお祝いパッケージが贈られます。
そこには、下着、おむつ、冬のコート、哺乳瓶、布団、タオル・・・・と、必要なグッツがすべて入っている超豪華なプレゼントです。
2番目、3番目も同様で、もしパッケージが必要ないという人には、祝い金140ユーロが支給されます。
★子どもの検診は就学まで、何と、15回。そのうち3回は医師も診ます。特に乳児期は重視して9回。ほとんど毎月と言っていいですね 日本ではどんどん健診を切っていますよ。
特に4か月、18か月、4才は重視。
4歳健診の前には幼稚園の先生、保護者、センターの職員(全員看護師)とのコミュニケーションの場が設けられています。
これは大事だと思いました。日本ではこのような連携が大変難しいのです。
そして子どもに関するどんな記録でも、親が確認していないことが決して書かなと徹底していることもすごいと思いました。
★電話相談は8時から13時まで。ヘルシンキ全体で15人の看護師が対応しています。
すべてにわたってそうですが、相談活動では、フィンランドでもデンマーク同様「自分で決める」ことが重視されています。
「自分で決定」できるような援助をしているとのこと。
たとえばペットボトルのふたがあかなくて困っている子に対しても、「開けてちょうだい」と要求がない時は、「飲みたいのね」とあけてあげる「親切」は決してしない。老人ホームでも同じで、「お世話」ではなく、どうやって自分でできる力を引き出すか、が大事だと考えています。
基本的に大事なことです。学ぶ面が多くありますが、自分たちなりにこなしていかなくては、と思いました。
たとえば、自己決定は食事についても貫かれ「みんなで一緒にいただきます」はありません。食べた人が食べたいときに食べたいものを食べる。だから、デンマークでの森の幼稚園でもそうでしたし、学校でも授業中にパンを食べようが甘いものを食べようが自由だそうです。
★ネウボラのサービスは無料ですが、医療費はネウボラで一回1000円(18歳までは無料)。ただし、3回まで、4回目からは無料です。
ですから、医療費は年3000円以下と言うことになります。
しかし出生率は日本と同じくらい。それが悩みになっているとのことでした。
「日本の親は長時間労働、低賃金、高い保育料や教育費の高さにもめげず頑張って育てている。フィンランドではお金はかからないし、遅くても5時になれば家に帰れる。それなのにどうして出生率が低いのか」と質問しました。
ほかにも子どもの病気の時には4日までは病休が取れる(有給)制度もあります。育児手当は月140ユーロ、子どもが増えれば下の子ほど、手当は上がってゆきます。
日本の親が聞いたら、本当にうらやましい限りですね。
答えてセンターの職員が曰く、「これほどのケアがあっても生まない」と失笑しながら「仕事に生きがいを見出している親が多い」と言いました。
「労働時間の短縮」「給料アップ」「保育・教育の環境整備」などだけでは、少子化の解決にはならないのか・・・と思いましたね。
フィンランドでは女性も働くのが当たり前で、就業率は80パーセント以上です。
育児休暇は3年間保障されているけれど、そんなに休む人はいないと。「それだけ時間を空けたら、現場で通用しなくなる」と、ガイドの亀谷さんが話してくれました。
後でまた詳しく報告しますが、看護師、教師、弁護士のほとんどは女性だといいます。
たとえば教師は大学で修士の資格、その上に専門の資格(語学、数学・・・)が必要。男子の成績が思わしくないのが深刻な問題になっているとのことでした。
次回、教育と老人ホームの報告をしますね。
いったん、閉じます。
おまけ
少し時間を取って「セウラサーリ島」へ行きました。
唯一歩いてゆける島です。18世紀から19世紀の古い家屋や教会などが移転されています。
美しかった。
こんな風景もありました。
リスが目の前まで来てくれました。ちょろちょろたくさん走り回っていました。
フィンランドはさすがに緑が多くて、どこに行ってもさわやかで美しい。
森の中に誰でも使えるバーベキュウの炉があり、いるでもできるようにまきまで準備されてありました。
ガイドの亀谷さんが、ソーゼージや飲み物をリュックに背負ってきてくれました。ありがとうございます!なんでリュックを背負っているんだろうなあ・・・と思っていました。おもてなしの心がうれしかった。
もう一組、お酒とソーセージを持ってきたお兄さんたちがいました。憩の場なんですね。